パルプ造形で有る事の意味。I have meaning in pulp molding.

パルプ素材ってのは紙の原料。紙というのは、ご存知の通り、何かを書く、描く為の支持体。パソコンで例えるのなら記録メディアです。要は物を入れて運ぶ器の様な物です。この意味においては段ボールなどの梱包材も同様です。あくまで本体を固定、保護する為の存在、つまり、主役ではなく脇役です。主従関係でいけば従です。

これは、パルプという素材が、他に使い道がないという事では有りません。主な用途として広く使われているという事です。他の用途、可能性がないと言う訳ではありません。

他方、情報メディアとしての役割りの終った紙はリサイクルされていますが、金属等の素材と異なり、何度も同じ用途のものにリサイクルはできません。紙はリサイクルする度にパルプの繊維が細かくなり、確実に劣化していきます。ですから、再生紙から再生紙を作るとその再生紙は元々の再生紙より劣化します。

それに、リサイクルすると水を汚しますし、エネルギーコストと二酸化炭素が発生します。ですから、単に素材を再利用することに有意義な意味はありません。リサイクルしても次の有効な用途がなければ意味が有りません。

そこで、造形の素材としての可能性を探し、実験し、実践している訳です。「ただの紙切れ」というと価値のない物の代名詞ですが、その紙切れから新しく価値を作り出したいと考えます。まあある種の錬金術ですかねえ。価値のない物から価値の有る物を作るのですから。紙の錬金術師。うーん、弱そう。でも、弱いと言う事は見方を変えれば強さがあるということではあります。

そういうパルプ素材を元とした作品が有るという事をもっと伝えて行きたいですねえ。パルプ造形自体が社会に認知されないとそれを作っている自分自信も非常に厳しいものがあります。