何とかと煙は高い所が好き。水は低い所を好む。-fools and smokes like high places, Water likes low places.-

ごくごく薄めたペイントを机の上に、正確に言うのならば
パルプの板の上に垂らして、それが板に吸収される、
溜まって流れる、違う色と混ざり何とも言えない色合い
に変わる様、水分を含んでいてグロッシィな光沢を
持っていた面が徐々に乾いていって、基材の表面の
凹凸、質感が現れて、マットな表情が顔を出してゆく
様をみていると、個人的な美意識、感覚からして、
とても とても とても 見ごたえのあるものだと思いつつも、
こういう感覚というのは一体どれだけの人に伝わるの
だろうかという疑問を抱え込んでしまう。

最近、パルプの表面処理、塗料などで着彩する際の、
パルプの風合いをなるべく損なわない仕上げというのを
探している。

どうにも、ただ、筆で塗るというのはどうにもしっくりとこない。

パルプの持つ、粗野で、自然な風合いの上に、人の
明らかな意図が見透かせてしまうようなタッチ、素材の
マダラな質感を一色で塗りつぶしてしまうような野暮で
不自然で不格好な表情はどうにも納得がいかない。

そういった点を何とかする方法として、よく薄めた塗料を
筆で塗りたくるのではなく、基材に落とす、垂らすというやり方
を実験するのではあるが、そこまで作為性を減らす、
モダンテクニック的な方法だと逆に制御ができなくなって
しまって手に余る。

別段、今更、抽象絵画を本格的に始めようという気もないので
もう少しバランスをとるべく、模索。

水というものは、高い所から低いところに流れるという、一見
誰もが知っているが、当然過ぎて、誰もが少し忘れがちな特性を
持っている。

つまり、液体の塗料を筆を使わずに制御する方法として、
高低差を使うという方法もあり得るのではないか。

平面ではなく、立体を扱っている事の強みもある。

実験してみる価値はあるかも知れない。